2012年01月30日

若手ヴァイオリニスト 木嶋真優への期待

 木嶋真優の“待望”のリサイタルが近づいてきた。この“待望”は2つの意味をもつ。まずは時間的な意味で「久々にリサイタルを聴ける」こと、そして何より「近年充実著しい彼女の音楽をじっくりと味わえる」ことである。
 16歳時にアシュケナージ/N響とラヴェルの「ツィガーヌ」を録音して注目を集め、恩師ブロンやロストロポーヴィチにも才能を認められた彼女だが、現在ドイツに暮らし、ヨーロッパを中心に活動している。そのため東京での本格的なリサイタルは3年ぶり。今回は真に貴重な機会なのだ。
 また昨年5月、バシュメット&モスクワ・ソロイスツとバッハの協奏曲を共演した彼女は、これまで以上に引き締まり且つ潤いを増した音と、毅然たるスタイルで、パッショネイトな音楽を聴かせた。9月にはケルン国際音楽コンクールで優勝。さらにはNHK大河ドラマ「平清盛」<紀行>の録音に参加し、作曲者・吉松隆氏も「弾き始めた瞬間、あたりの空気がぐいと動くような音の存在感…これはただ者ではない」と絶賛した。こうした充実の今、「リサイタルで進化を確かめたい」と思わずにはおれない。
 共演は、信頼を寄せるピアニスト・江口玲。先頃、江口氏に話を聞いた際、彼は木嶋の魅力を「演奏に物凄くエネルギーがあり、パッションが前面に出るような音と音楽をもった奏者。人を強く惹き付ける魅力がある」と語った。「40回前後は共演している」音楽家の言ゆえに信じて間違いはない。
 バロック、古典派、ロマン派、近代を網羅したプログラムも意義深い。中でも注目はヴァイオリン・ソナタの最高峰「クロイツェル」。これについて江口氏は「彼女はプログラムに信念がある。今回は今までにない構成で、彼女の中で何かが変わったことを感じさせるプロ。特に『クロイツェル』は自信の表われだろう」とみる。
 幾多のヴァイオリニストと共演してきた名手も期待を寄せる今回のリサイタル。弦楽器ファンならずとも、ぜひ足を運びたい。

文:音楽ライター 柴田克彦



kishima_flyer.jpg≪木嶋真優 ヴァイオリン・リサイタル≫
2012年3月13日(火)19時開演 紀尾井ホール
曲目:
ロカテッリ:ヴァイオリン・ソナタ ヘ短調 Op.6-7
ストラヴィンスキー:ディヴェルティメント
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第9番 「クロイツェル」
チャイコフスキー:ワルツスケルツォ
ピアノ :江口 玲

10月15日(土) 10:00a.m.〜一般発売

問合せ:ジャパン・アーツぴあ 03−5774−3040


posted by JapanArts at 20:40| ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする